淪
淪
名詞
標準
文例 · 用例
それに比して義しき者の悲境に沈淪せるは何の故ぞと、ヨブは疑うのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
文化に於いて、はたまた産業に於いて然り、かしこくも明治大帝の教育に関する大御心はまことに神速に奥州の津々浦々にまで浸透して、奥州人特有の聞きぐるしき鼻音の減退と標準語の進出とを促し、嘗ての原始的状態に沈淪した蒙昧な蛮族の居住地に教化の御光を与へ、而して、いまや見よ云々。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
おのれの淪落の身の上を恥じて、帰ってしまったものとばかり思っていたのである。
— 太宰治 『デカダン抗議』 青空文庫
のみならず、日本は北支那より退却し、退嬰自屈の政策の下に、国運の日に淪落に傾くことを如何ともなし能わざるに至るであろう。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
それから父親は持って行った資金の金のあるに任せ、西海岸の日本人の多くいる都市を遊び歩き、アメリカゴロの立てる空な計画に乗せられたり、淪落の雑種の女の美人局に掛ったりするので、なか/\内部地方へ入って行けなかった。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
しかし、それは、上品な育ちのよい女が身をおとして行く淪落の世相へのなげきではなかった。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
(船場の上流家庭に育った娘、淫奔な血、家出して流転し、やがて数奇な運命に操られて次第に淪落して行った挙句、十銭芸者に身を落すまでの一生)しかし、これでは西鶴の一代女の模倣に過ぎないと思いながら、阪口楼の前まで来た。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
その後「十銭芸者」の原稿で、主人公の淪落する女に、その女の魅力に惹きずられながら、一生を棒に振る男を配したのも、少しはこの時の経験が与っているのだろうか。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫