来合
らいごう
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、我々はかかる「出来合」の類概念によって取交される flatus vocis に迷わされてはならぬ。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
僕と節野とは、教室で可なり口をきき合つたのであり、一緒に酒場なぞにも行つた男であるが、それでも彼の昼間通つてゐる日本大学の同級生が其の場に来合せたりすると、その方が主になるのである。
— 中原中也 『三等車の中(スケッチ)』 青空文庫
資本家や、資本家の傀儡どもが、商品を濫造するように、濫造した、出来合いの御用思想だけが、思想だと思うことをやめて、僕らにゃ僕らの考え方、行ない方があることをハッキリ知らなきゃならないんだ」小倉は頭の中で、辞書のページでも繰ってるようにしていった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
生え抜きの上田市民で丁度この日他行のためにこの祇園祭の珍しい行事に逢わなかった人もあるであろうから一生におそらくただ一度この町へ来合わせて丁度偶然この七十年目の行事に出くわした自分等はよほどな幸運に恵まれたものだと思っても別に不都合はない訳である。
— 寺田寅彦 『高原』 青空文庫
丁度ヘルムホルツも学位を受けに来合せて夫婦連れで二晩泊った。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
ただ在来の月並の不合理や出来合の矛盾にのみ馴れてそれを忘れている眼にほんの一時的の反感を起させるに過ぎないであろう。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
」「失礼、只今は、」 と、お三輪が湯を注しに来合わせて、特に婦人客の背後へ来て、極の悪そうに手を支いた。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
……思え、講釈だと、水戸黄門が竜神の白頭、床几にかかり、奸賊紋太夫を抜打に切って棄てる場所に……伏屋の建具の見えたのは、どうやら寂びた貸席か、出来合の倶楽部などを仮に使った興行らしい。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫