赤蜻蛉
あかとんぼ
名詞
標準
文例 · 用例
秋日和の三時ごろ、人の影より、黍の影、一つ赤蜻蛉の飛ぶ向うの畝を、威勢の可い声。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
奴の顔色、赤蜻蛉、黍の穂も夕づく日。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
」 と出額をがッくり、爪尖に蠣殻を突ッかけて、赤蜻蛉の散ったあとへ、ぼたぼたと溢れて映る、烏の影へ足礫。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
主人公の名の糸七は「縷紅新草」のそれとひとしく、點景に赤蜻蛉のあらはるゝ事も亦相似たり。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
」 一廻り斜に見上げた、尾花を分けて、稲の真日南へ――スッと低く飛んだ、赤蜻蛉を、挿にして、小さな女の児が、――また二人。
— 泉鏡花 『若菜のうち』 青空文庫
色も空も一淀みする、この日溜りの三角畑の上ばかり、雲の瀬に紅の葉が柵むように、夥多しく赤蜻蛉が群れていた。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
客は、陽の赤蜻蛉に見愡れた瞳を、ふと、畑際の尾花に映すと、蔭の片袖が悚然とした。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
その時、赤蜻蛉の色の真紅なのが忘れたようにスッと下りて、尾花の下に、杭の尖に留った。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫