赤絹
あかぎぬ
名詞
標準
文例 · 用例
吸いつけ煙草に離れともない在郷の衆、客を呼ぶ牛太の声、赤絹に火のついたような女たちのさんざめき、お引けまでに一稼ぎと自暴に三の糸を引っかいて通る新内の流し、そのなかを三人は左右大小の青楼へ気を配りながら、雁のように跡を踏んで縫って行った。
— 怪談抜地獄 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
赤い赤絹の布がどこにもないのです、織元でひき合わぬ由。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
眉毛を描いたピエロが赤絹の飾帯を横へたらしてロマンスを唄っている。
— 宮本百合子 『ロンドン一九二九年』 青空文庫
服は胸のところに赤絹のリボンがついていて、くびすじのところで、あっさりした白い立襟にくぎられている。
— DER TOD IN VENEDIG 『ヴェニスに死す』 青空文庫
老人は朱絹の衣をまとい、竹冠をかぶり、肥えたる耳に金環を垂れ、さながら達磨禅師のような風貌をしている。
— 出師の巻 『三国志』 青空文庫
赤衣の童子が、そうして山に着いたのは、ちょうどひるめしごろだった。
— 宮沢賢治 『オツベルと象』 青空文庫
が、考えて見れば、「公明正大」とあんなに書いてよこした彼が、赤衣を着、鎖につながれた姿を見ることは、また見せることは互に、何という辛いことか、たとい冤罪にしろ(庸之助は冤罪という字を見ると、心がグーッと圧しつぶされた。
— 宮本百合子 『日は輝けり』 青空文庫
最初は十一ヶ月の豫定でありましたが、幾つもの事件が重なつてゐましたし、赤衣を着けて幾度か法廷に立ち、幸徳の直接行動論に就いての辯論も自分で思ふ存分やつたので、刑期はまた延長して十三ヶ月になりました。
— 石川三四郎 『浪』 青空文庫