破屋
はおく
名詞
標準
tumbledown or dilapidated house
文例 · 用例
破屋というのではないが、とりわけて見ようというような立派な家では勿論なかった。
— 梶井基次郎 『路上』 青空文庫
拓を背にし、お雪を頸に縋らせて、滝太郎は面も触らず件の洞穴を差して渡ったが、縁を下りる時、破屋は左右に傾いた。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
――もっとも、下職も三人入り、破屋も金銀の地金に、輝いて世に出ました。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
軽く喘いで、それを上ると、小高い皿地の中窪みに、垣も、折戸もない、破屋が一軒あった。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
まさか、この破屋に、――いや、この松と、それより梢の少し高い、対の松が、破屋の横にややまた上坂の上にあって、根は分れつつ、枝は連理に連った、濃い翠の色越に、額を捧げて御堂がある。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
花の吹雪に散るごとく、裾も袖も輪に廻って、夫人は朽ち腐れた破屋の縁へ飛縋った。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
――相州逗子に住つた時、秋もややたけた頃、雨はなかつたが、あれじみた風の夜中に、破屋の二階のすぐその欄干と思ふ所で、化けた禪坊主のやうに、※喝をくはしたが、思はず、引き息で身震ひした。
— 泉鏡太郎 『木菟俗見』 青空文庫
お互に――お互は失禮だけれど、破屋の天井を出てくる鼠は、忍ぶにしろ、荒れるにしろ、音を引ずつて囘るのであるが、こゝのは――立つて後脚で歩行くらしい。
— 泉鏡太郎 『木菟俗見』 青空文庫