瓜実
うりざね
名詞
標準
文例 · 用例
」「目の凜とした、一の字眉の、瓜実顔の、裳を引いたなり薄い片膝立てで黒縮緬の羽織を着ていた、芸妓島田の。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
父は鏡子の明治型の瓜実顔の面だちから、これを日本娘の典型と歓び、母は父が初老に近い男でも、永らく外国生活をして灰汁抜けのした捌きや、エキゾチックな性格に興味を持ち、結婚は滑らかに運んだ。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
いわゆる瓜実顔に整った目鼻立ちが、描けるように位置の坪に嵌っていて、眉はやや迫って濃かった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
彼はやゝ下膨れの瓜実顔の、こんもり高い鼻の根に迫らぬやう切れ目正しくついてゐる両眼の黒い瞳に、長い睫毛を煙らせて、地を見入つてゐるときには、何を考へてゐるか誰も察しがつかなかつた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
母は眼は少し窪んでいましたが瓜実顔に肉附きのよい美人で、その当時はやりの花月巻というのを結って黒襟の小紋|縮緬の袷でも着たら品もあり仇っぽくもあり、誰でもみな顧りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
イベットはもともと南欧ラテン民族の抜ける様な白い額から頬へかけうっすり素焼の赭土色を帯びた下ぶくれの瓜実顔を持つ女なのだが彼女が斯うした無心の態度に入る時には、何とも形容し難い「物」になって仕舞い、自然が与えた美しさだけが、外貌に残る。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
姉は、薄皮の瓜実顔に眉が濃く迫っている美人で、涙っぽい膨れ目は艶ではあるが、どんな笑い顔をも泣き笑いの表情にして、それで平生は無難なまとまった顔立ちでも単純だった。
— 岡本かの子 『呼ばれし乙女』 青空文庫
十六七の、瓜実顔の色の白いのが、おさげとかいう、うしろへさげ髪にした濃い艶のある房りした、その黒髪の鬢が、わざとならずふっくりして、優しい眉の、目の涼しい、引しめた唇の、やや寂しいのが品がよく、鼻筋が忘れたように隆い。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫