扨々
扨々
名詞
標準
文例 · 用例
人情といい世態という者は扨々なさけ無いものだ。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
今度御書に而は、右本御恵賜被下候由扨々忝奉存候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
扨々恐入候御事に御坐候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
「扨々|羨ましい事だ、乃公もアヽ云う身分になって見たいと、自分の身を思い又世の有様を考えて、妙な心持になって、ソレからその巡礼に銭など与えて、貴様達は夫婦か、故郷に子はないか、親はあるか、など色々話し、問答して別れたことは今に覚えて居ます。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
私は箱根帰りに丁度その列車に乗て居て、ソット奴の手に握てる中等切符を見て、扨々賤しい人物だと思いました。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
扨々忠臣義士も当てにならぬ、君臣主従の名分論も浮気なものだ、コンな薄ぺらな人間と伍を為すよりも独りで居る方が心持が宜いと説を極めて、初一念を守り、政治の事は一切人に任せて、自分は自分だけの事を勉めるように身構えをしました。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
……誘き寄せようため逃げた拙者、感付かぬとは扨々笑止、が、そこがこっちの付目、人目あっては嬲殺しは出来ぬ、今は二人だ、二人ばかりだ、逃がそうとて拙者は逃げぬ、逃げようとて汝逃がさぬ、薮を盾に人目を遮り、久しく血を吸わぬこの業物に、汝の血を吸わせてやる。
— 国枝史郎 『剣侠』 青空文庫
」いずれも礼服揃いの満座の中にこの髭翁だけが「短カキ胴〆ノ附タル服ヲ着シ」とあって「早ク申サバ日本の股引半天ノ拵ヘユヱ、連座ノ西洋人ハ勿論、日本人モ扨々失礼ヲ知ラヌぢぢい哉ト横目ニテじろりと睨メタリ。
— 木村荘八 『ハイカラ考』 青空文庫