牛耳
ぎゅうじ
名詞
標準
ears of an ox
文例 · 用例
これは、ひょっとしたら、馬場と私との交際は、はじめっから旦那と家来の関係にすぎず、徹頭徹尾、私がへえへえ牛耳られていたという話に終るだけのことのような気もする。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
はっとして吉田がその女の顔を見ると、それはその病舎の患者の付添いに雇われている付添婦の一人で、勿論そんな付添婦の顔触れにも毎日のように変化はあったが、その女はその頃露悪的な冗談を言っては食堂へ集まって来る他の付添婦たちを牛耳っていた中婆さんなのだった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
吉田はそれですっかりその婆さんに牛耳られてしまったのであるが、その女の自分の咳に敏感であったことや、そんな薬のことなどを思い合わせてみると、吉田はその女は付添婦という商売がらではあるが、きっとその女の近い肉親にその病気のものを持っていたのにちがいないということを想像することができるのであった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
少年達は少女達の中心にツルがゐて、彼女が少女達の輿論を牛耳つてゐるのを見た。
— 新美南吉 『登つていつた少年』 青空文庫
「割合に、みんな、よくして呉れるらしいわね」「僕あ、すぐ、この辺を牛耳っちゃうよ」「いくら馴染みになっても決して借を拵えちゃいけませんよ、嫌がられますよ」 それからアパートへ引返して、昇降機が、一週間のうちには運転し始めることを確め、階段を上って部屋へ行った。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
唯取柄なのは、家庭や団体なんかが牛耳れそうな精力的なところなんですが……僕あそんなもの欲しくないんです」「そうお。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
これは、ひよつとしたら、馬場と私との交際は、はじめつから旦那と家來の關係にすぎず、徹頭徹尾、私がへえへえ牛耳られてゐたといふ話に終るだけのことのやうな氣もする。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
「更に問わむ、太宰もまた泣いて原稿を買って下さい、とたのみ、チエホフも扉の敷居すりへって了うまで、売り込みの足をはこんだ、ゴリキイはレニンに全く牛耳られて易々諾々のふうがあった、プルウストのかの出版屋への三拝九拝の手紙、これをこそ、きみ、リアルというか。
— 太宰治 『HUMAN LOST』 青空文庫