黒灰
こっかい
名詞
標準
文例 · 用例
そうして、従来見た火山の噴煙と比べて著しい特徴と思われたのは噴煙の色がただの黒灰色でなくて、その上にかなり顕著なたとえば煉瓦の色のような赤褐色を帯びていることであった。
— 寺田寅彦 『小爆発二件』 青空文庫
牧は、土のついた、濁り、淀んだ、黒灰色の顔を上げた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
それは手紙か証文か何かしらんが、その紙片を焼いて黒い灰をこしらえたときには、被害者は煙草を吸っていなかったことを物語る――つまりそのとき煙草を吸っていたものなら、その吸殻はこの黒灰の上にあるか、又はそのへんに落ちている筈だ。
— 海野十三 『地獄の使者』 青空文庫
ことに高度二万三千メートル以上となれば空は黒灰色にみえるのである……と、“宇宙地理学”の教科書に書いてあったが、ははん、なるほどだ……」 ねぼけていたとはいえ、もう夜中だ、などとばかなことをいったものだ。
— 海野十三 『宇宙の迷子』 青空文庫
下から成層圏へのぼっていくと、白昼でもまず十キロのあたりでは、空が暗青色となり、それからだんだん暗さを増して、暗紫色となり、二十キロを超えるころには黒紫色となり、それ以上は黒灰色になって、われわれが普段見ている晴れた夜空と同じようになる。
— 海野十三 『成層圏飛行と私のメモ』 青空文庫
○ブラマンクの絵でなじみある強烈な黒灰色にぼけた四角い家、ぶっつかるような対照をなして並ぶ煉瓦色の壁。
— 一九二九年(昭和四年) 『日記』 青空文庫
とある横丁で、強烈な黒灰色にぼけた四角い小家があり、それにかみつくような対照で煉瓦色の壁が突っ立っていた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
安房の国の洲崎で、駒井の番所へ闖入し、金椎の料理を食い散らしてから、衣食が足って礼節を戸棚の隅から発見すると、性の本能が横溢し、その狼藉の鼻を田山白雲に取っつかまって腰投げを食い、完全に抑え込まれてから、銚子の黒灰の素人相撲では連戦連勝を、またこの白雲の助言によって土をつけられてしまった。
— 恐山の巻 『大菩薩峠』 青空文庫