珍々
珍々
名詞
標準
文例 · 用例
慾目にも風采が上っているなどと言えないばかりか、正直のところ、まず珍々妙々なる老爺であった。
— 宙に浮く屍骸 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
三絃ノ珍々タルハ誕生ヲ祝フ也。
— 成島柳北 『阿房山賦』 青空文庫
彼というは堂々たる現代文士の一人、但し人の知らない別号を珍々先生という半可通である。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫
珍々先生はこんな処にこうしていじけていずとも、便利な今の世の中にはもっと暖かな、もっと明い賑かな場所がいくらもある事を能く承知している。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫
珍々先生が帝国劇場において『金毛狐』の如き新曲を聴く事を辞さないのは、つまり灰の中から宝石を捜出すように、新しきものの処々にまだそのまま残されている昔のままの節附を拾出す果敢い楽しさのためである。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫
四 諦めるにつけ悟るにつけ、さすがはまだ凡夫の身の悲しさに、珍々先生は昨日と過ぎし青春の夢を思うともなく思い返す。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫
実際今の世の中に、この珍々先生ほど芸者の好きな人、賤業婦の病的美に対して賞讃の声を惜しまない人は恐らくあるまい。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫
珍々先生は生れ付きの旋毛曲り、親に見放され、学校は追出され、その後は白浪物の主人公のような心持になってとにかくに強いもの、えばるものが大嫌いであったから、自然と巧ずして若い時分から売春婦には惚れられがちであった。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫