屋敷跡
やしきあと
名詞
標準
文例 · 用例
そこは昔の士の屋敷跡のように思えた。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
大地の緩い傾斜に応ずるため末高に石を積んだ囲いの中へ、地均しの土を盛ったこの家の敷地は、この母家を一端にしてまだ/\広く奥深く屋敷跡らしい空地を残していましたから。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
屋敷跡の様子は、俳句に素人のわたくしにもこの俳句の趣に似た哀愁と共に、ひょこんとした感じを与えるものがありました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
以前は立派な士族で、桑園は則ち其屋敷跡だそうです。
— 国木田独歩 『運命論者』 青空文庫
採蘭亭は崩壊した或る有名な実業家の豪奢な屋敷跡であつた。
— 徳田秋聲 『二つの失敗』 青空文庫
これより先幕府は安政三年二月に、蕃書調所を九段坂下元小姓組|番頭格竹本|主水正正懋の屋敷跡に創設したが、これは今の外務省の一部に外国語学校を兼たようなもので、医術の事には関せなかった。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
吉良の屋敷跡の松坂町を横に見て、一つ目の橋ぎわへ行き着いて、相生町一丁目のお俊の家をたずねると、それは竹本駒吉という義太夫の女師匠の隣りであると教えてくれた者があった。
— 薄雲の碁盤 『半七捕物帳』 青空文庫
それから七八百年の月日を過ぎるあいだに、土地にもいろいろの変遷があって、黒太夫の家は単に黒屋敷跡という名を残すばかりで、とうの昔にほろびました。
— 岡本綺堂 『青蛙堂鬼談』 青空文庫