戦鼓
せんこ
名詞
標準
文例 · 用例
是に於て、彼は戦鼓を打ち旌旗を連ね、威風堂々として、南信を出で、軍鋒の向ふ所枯朽を摧くが如く、治承四年九月五日、善光寺平の原野に、笠原平五頼直(平氏の党)を撃つて大に破り、次いで鋒を転じて上野に入り、同じき十月十三日、上野多胡の全郡を降し、上州の豪族をして、争うて其大旗の下に参集せしめたり。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
俊才、嚢中の錐の如き彼は、直に部将井上九郎光盛をして赤旗を立てて前ましめ、彼自らは河を済り、戦鼓をうつて戦を挑み、平軍の彼が陣を衝かむとするに乗じて光盛等をして、赤旗を倒して白旗を飜し、急に敵軍を夾撃せしめて大に勝ち、遂に長茂をして越後に走らしめたり。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
そして宋江は、ひだりに穆弘、みぎには黄信、さらに花栄、欧鵬らの兵幾団を、二陣三陣と備え立てて、戦鼓、陣鉦、トウトウと打ち鳴らしながら、独龍岡へじかに攻めのぼった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
のみならず城の三方から、猛風に乗せて、喊の声、戦鼓のひびき、急激な攻め鉦の音などがいちどに迫ってきたので、城兵は消火どころではなく、釜中の豆の如く沸いて狼狽しだした。
— 草莽の巻 『三国志』 青空文庫
古から観るに、治きわまれば乱を生じ、乱きわまるとき治に入ること、申すもおろかでありますが、現代はいかにというに、光武の治より今にいたるまで二百余年、平和をつづけて、近頃ようやく、地に干戈の音、雲に戦鼓の響き、いわゆる乱に入り始めたものではありませんか」「そうです。
— 孔明の巻 『三国志』 青空文庫
三江の水天、夜いよいよ深く万条の銀蛇、躍るが如し戦鼓鳴を止めて、舷々歌う幾万の夢魂、水寨にむすぶ 魏の北岸の陣中で、誰か吟詠している者があった。
— 望蜀の巻 『三国志』 青空文庫