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訳字

やくじ
名詞
1
標準
文例 · 用例
さて一方文学を攷察して見まするにこれを大別してローマンチシズム、ナチュラリズムの二種類とすることが出来る、前者は適当の訳字がないために私が作って浪漫主義として置きましたが、後者のナチュラリズムは自然派と称しております。
――明治四十四年六月十八日長野県会議事院において―― 教育と文芸 青空文庫
その他英語のスピーチュに演説の訳字を下して会議演説の趣意を説き、あらゆる反対論を排して今日世間に普通なる彼の演説法を教えたるも義塾にして、スチームを汽と訳し、コピライトを版権と訳したるも義塾の発意なり。
福澤諭吉 〔気品の泉源、智徳の模範〕 青空文庫
この「統計」の二字は、恐らくは「英華字典」にスタチスチックに対して「統紀」という訳字を用いておったのに拠って案出したものであろう。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
加藤弘之先生の直話に拠れば「自由」という訳字は、幕府の外国方英語通辞の頭をしていた森山多吉郎という人が案出したのが最初であるという事であるが、文久二年初版慶応三年正月再版訳了の「英和対訳辞書」(堀達三郎著)には、既に自由という訳字を用いている。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
しかるに、福沢諭吉先生が慶応二年に出版せられた「西洋事情」にも「自由」という訳字を用いられ、それより広く行わるるようになったが、古来一定の意義を有する通用語をかつて日本になかった思想に当てようとしたのであるから、先生もその説明によほど苦心されたことは次に引用する文章でも明らかに分ることである。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
同書第一巻、政治の部の註に、本文自主・任意・自由ノ字ハ、我儘放盪ニテ、国法ヲモ恐レズトノ義ニ非ラズ、総テ其国ニ居リ、人ト交テ、気兼ネ遠慮ナク、自分丈ケ存分ノコトヲナスベシトノ趣意ナリ、英語ニ之ヲ「フリードム」又ハ「リベルチ」ト云フ、未ダ的当ノ訳字アラズ。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
といい、またこの後ち明治三年に出版の「西洋事情」第二編の例言中に、彼ノ常言モ、我耳ニ新シキコトアリテ、洋書ヲ翻訳スルニ臨ミ、或ハ妥当ノ訳字ナクシテ、訳者ノ困却スルコト、常ニ少カラズ。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫
我輩は太政官に政表課があり、また津田真道先生が政表学なる語を用いられた事を記し、岡松径君は「統計集誌」上に政表なる訳字は杉享二先生の選定せられたもので、文書に見えたのは、明治三年同先生が民部省へ提出された答申書を始めとすと記された。
穂積陳重 法窓夜話 青空文庫