薫蒸
くんじょう
名詞
標準
文例 · 用例
異様な光焔と薫蒸とが溌乱する。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
その薫蒸するところ暑く、その蕩搖するところ、日に新にして流る。
— 北原白秋 『白南風』 青空文庫
その薫蒸するところ暑く、その蕩揺するところ、日に新にして流る。
— 北原白秋 『白南風』 青空文庫
かうした風物の動きを強く深く樹心に感じた木犀が、その老いて若い生命と漂渺たる想とをみづからの高い匂にこめて、十月末の静かな日の午過ぎ、そのしろがね色の、またこがね色の小さな数々の香炉によつて燃焼し、薫蒸しようとするのだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
涙に薫蒸して、青い顏が頬のあたりだけポーツと赤くなり、大きい眼が、空洞に平次を見上げるのも哀れです。
— 釣針の鯉 『錢形平次捕物控』 青空文庫
「ホ、ホ、ホ、ホツ、ホツ」 女はいきなり笑ひ出しましたが、麻布中の空氣を薫蒸するやうな笑ひです。
— 御落胤殺し 『錢形平次捕物控』 青空文庫
埃臭く、黴臭く淀んだ大納戸の空氣は、美女の苦惱の聲と折檻に絞り出された汗に薫蒸して、言ひやうもなく不思議な匂ひを釀し出すのを、平次は顏を反けて我慢しました。
— 兵庫の眼玉 『錢形平次捕物控』 青空文庫
十八娘の美しさが、恐怖と激情に薫蒸して、店中に匂ふやうな艶めかしさ。
— 結納の行方 『錢形平次捕物控』 青空文庫