擢
擢
名詞
標準
文例 · 用例
そもそもこの青砥左衛門尉藤綱を抜擢して引付衆にしてやったのは、時頼である。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
が、当時梨園に擢出た、名優|久女八は別として、三崎座なみは情ない。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
此君にして此臣あり、十萬石の政治を掌に握りて富國強兵の基を開きし、恩田杢は、幸豐公の活眼にて、擢出られし人にぞありける。
— 泉鏡太郎 『十萬石』 青空文庫
ぎょっとして、仰いで見る、月影に、森なす大芭蕉の葉の、沼の上へ擢んでたのが、峰から伸出いて覗くかと、頭に高う、さながら馬の鬣のごとく、譬えば長髪を乱した体の、ばさとある附元は、どうやら痩こけた蒼黒い、尖った頤らしくもある。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
で、此頃はまだ頻りに学校で抜擢ということが流行って、少し他の生徒より出来がよければ抜擢してずんずん進級せしめたのです。
— 幸田露伴 『少年時代』 青空文庫
私もそれで幸いにどしどし他の生徒を乗越して抜擢されて、十三の年に小学校だけは卒業して仕舞った。
— 幸田露伴 『少年時代』 青空文庫
鉉|是に於て擢でられて兵部尚書となり、盛庸は歴城侯となりたり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
で、定基は父祖の功により、早く蔵人に擢でられ、尋で二十何歳かで三河守に任ぜられたが、然様いう家柄の中に出来た人なので、もとより文学に通じ詞章を善くし、又是れ一箇の英霊底の丈夫であった。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫