秒時
びょうじ
名詞
標準
文例 · 用例
いま貴重な一秒時が過ぎ去つて行く。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
一秒時間に十八万六千マイルという驚くべき速度で逃げ出すと、もう未来永劫再び我が地球へは帰って来ぬ。
— 寺田寅彦 『歳時記新註』 青空文庫
悪左衛門をはじめ夥間一統、すなわちその人間の瞬く間を世界とする――瞬くという一秒時には、日輪の光によって、御身等が顔容、衣服の一切、睫毛までも写し取らせて、御身等その生命の終る後、幾百年にも活けるがごとく伝えらるる長い時間のあるを知るか。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」と云はうとしたが、男の詞の方が幾十秒時間か早かつたので、恰も自分の云はうとした上を、男が押しかぶせて来たやうな心持に聞取れた。
— 平出修 『計画』 青空文庫
「さうですか」と云はうとしたが、男の詞の方が幾十秒時間か早かつたので、恰も自分の云はうとした上を、男が押しかぶせて來たやうな心持に聞取れた。
— 平出修 『計畫』 青空文庫
八田巡査はこれを見て、躊躇するもの一|秒時、手なる角燈を差し置きつ、と見れば一枝の花簪の、徽章のごとくわが胸に懸かれるが、ゆらぐばかりに動悸烈しき、お香の胸とおのが胸とは、ひたと合いてぞ放れがたき。
— 泉鏡花 『夜行巡査』 青空文庫
併し前にも云つた通り、是も亦氣が散らねばならぬ理が有つて散つたので、光秀も信長の爲に忍び難き凌辱を加へられた其の爲に、心が其の事を秒時も離れる事が出來なくなつて居る。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
強烈な平和の希望者は、それでも、今にも雨が静かになればと思う心から、雨声の高低に注意を払うことを、秒時もゆるがせにしてはいない。
— 伊藤左千夫 『水害雑録』 青空文庫