紙玉
かみだま
名詞
標準
文例 · 用例
かりそめながら戦ったわが掌を十分に洗って、ふところ紙三、四枚でそれを拭い、そのまま海へ捨てますと、白い紙玉は魂ででもあるようにふわふわと夕闇の中を流れ去りまして、やがて見えなくなりました。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
今は何ともならばなれと思ひ定めて和尚の枕元なる種子島の弾丸、轟薬を二つながら抜取り、代りに唾液にて噛みたる紙玉を詰め置き、扨、和尚を揺起して、かく/\の人、六部の姿して此寺に来ませしと、世間の噂、取り交ぜて告げ知らせしに和尚、打喜ぶ事|一方ならず。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
丸められた紙玉はルージンの目にあたって、はね返りながら床の上に落ちた。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
土間の古釘や木片にまじって小さな紙玉がひとつ落ちている。
— 久生十蘭 『海豹島』 青空文庫
わたしはそっと窓を閉めて、小さな紙玉を手に持ったまま、またハンモックに転がった。
— SANS FAMILLE 『家なき子』 青空文庫
白い紙玉のような物が、右に左に動きまわるのである。
— 山本周五郎 『風流太平記』 青空文庫
ノロちゃんは、それを受けとると、また井上くんのかたにのぼって、まるめた紙玉を、力まかせに、まどの外へほうるのでした。
— 江戸川乱歩 『まほうやしき』 青空文庫
花火の筒は絶間もなく音を立てて、尺余の紙玉が中空に炸裂し、五色に染めた紙の雪が、さんさんと降りしきっていた。
— 江戸川乱歩 『地獄風景』 青空文庫