様然
さまぜん
名詞
標準
文例 · 用例
当時の武士、喧嘩商買、人殺し業、城取り、国取り、小荷駄取り、即ち物取りを専門にしている武士というものも、然様然様チャンチャンバラばかり続いている訳では無いから、たまには休息して平穏に暮らしている日もある。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
主人が跣足になって働いているというのだから細君が奥様然と済してはおられぬはずで、こういう家の主人というものは、俗にいう罰も利生もある人であるによって、人の妻たるだけの任務は厳格に果すように馴らされているのらしい。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
実は僕も横腹を二つばかり突いて遣つた」「まあ、酷いのね」「ああ云ふ奴は男の目から見ると反吐が出るやうだけれど、女にはどうだらうね、あんなのが女の気に入るのぢやないか」「私は可厭だわ」「芬々と香水の匂がして、金剛石の金の指環を穿めて、殿様然たる服装をして、好いに違無いさ」 学生は嘲むが如く笑へり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
朝鮮|緘しの金モール燦然たる飴売り服や、四角八面のフロックコートを一着に及んで、左様然らばの勲何等|風を吹かせるのが、どう考えても吾輩の性に合わなかったんだね。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
自分の行為を判断する道徳も、臆病も、持ち合わせない彼にとって、煽動の御輿に王様然と倚りながら、担ぎ廻られることは決して詰らないことではない。
— 宮本百合子 『風に乗って来るコロポックル』 青空文庫
莫大な負債を荷いながら呑気に落付いてる父の殿様然とした気質、それが私にも伝わっているようだけれど、然し父のそういう気質を思うことは、やはり私には力となった。
— 豊島与志雄 『父母に対する私情』 青空文庫
西京大坂の芸妓も参つて居りましたが、皆丸髷で黒縮緬の羽織へ一寸黒紗の切れを縫ひつけて居りまして、其の様子は奥様然とした拵らへで、皆其処に寄り集まつてお通りの時刻を待つて居りますので、其の中に五もく鮨が出たり種々御馳走が出ます中にチヨン/\と拍子木を打つて参りました。
— 三遊亭円朝 『牛車』 青空文庫
まあ、さういふわけなら、信次郎に頭をさげて始末をつけてもらふといい」「だから、そんなことはできないつて云つてゐるぢやありませんか」 今年三十二の、何処から何処まで奥様然と鍛へあげた千登世の鼻息はなかなか荒かつた。
— 岸田國士 『双面神』 青空文庫