呼声
こせい
名詞
標準
文例 · 用例
果敢なき楼閣を空中に描く時、うるさしや我が名の呼声、袖、何せよ彼せよの言付に消されて、思ひこゝに絶ゆれば、恨をあたりに寄せもやしたる。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
朝顔の苗、覆盆子の苗、花も実もある中に、呼声の仰々しきが二ツありけり、曰く牡丹咲の蛇の目菊、曰くシヽデンキウモン也。
— 泉鏡花 『草あやめ』 青空文庫
草が蔓るは、又してもキウモンならんと、以来|然もなくて唯呼声のいかめしき渾名となりて、今日は御馳走があるよ、といふ時、弟も秋さんも、蔭で呟いて、シヽデンかとばかりなりけり。
— 泉鏡花 『草あやめ』 青空文庫
「さて、呼声に名が入りますと、どうやら遠い処で、幽に、はあい……」と可哀な声。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
彼にはうしろからの呼声が耳に入らなかった。
— 黒島伝治 『橇』 青空文庫
「奥さまのかの子さーん」 わたくしは不思議とこれを唐突な呼声とも思わず、木霊のように答えた。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
――呼声は朱鞘の大刀、黒羽二重、五分月代に似ているが、すでにのさのさである程なれば、そうした凄味な仲蔵ではない。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 呼声から、風体、恰好、紛れもない油屋で、あの揚ものの油を売るのださうである。
— 泉鏡花 『雨ばけ』 青空文庫