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やさしい

やさしい
形容詞
1
標準
文例 · 用例
「芳輔のやつ帰ったな、芳輔……芳輔」「きょうはほんとに、なまやさしいことではあなたいけませんよ」「こら芳輔」 父の声はいつになく荒かった、芳輔は上目使いに両親の顔をぬすみ見しながら、からだをもじりもじり座敷のすみへすわった。
伊藤左千夫 老獣医 青空文庫
又たまにはやさしい遊びに楽しかったこともある。
伊藤左千夫 井戸 青空文庫
お松は艶のよくない曇ったような白い顔で、少し面長な、やさしい女であった。
伊藤左千夫 守の家 青空文庫
お前のほつそりした頸すぢお前のながくのばした髮の毛ねえ やさしい戀びとよ私のみじめな運命をさすつておくれ私はかなしむ私は眺めるそこに苦しげなるひとつの感情病みてひろがる風景の憂鬱をああ さめざめたる部屋の隅から つかれて床をさまよふ蠅の幽靈ぶむ ぶむ ぶむ ぶむ ぶむ ぶむ。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
青猫この美しい都會を愛するのはよいことだこの美しい都會の建築を愛するのはよいことだすべてのやさしい女性をもとめるためにすべての高貴な生活をもとめるためにこの都にきて賑やかな街路を通るのはよいことだ街路にそうて立つ櫻の竝木そこにも無數の雀がさへづつてゐるではないか。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
どうして貴女はここに來たのやさしい 青ざめた 草のやうにふしぎな影よ貴女は貝でもない 雉でもない 猫でもないさうしてさびしげなる亡靈よ貴女のさまよふからだの影からまづしい漁村の裏通りで 魚のくさつた臭ひがするその腸は日にとけてどろどろと生臭くかなしく せつなく ほんとにたへがたい哀傷のにほひである。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
ああ この春夜のやうになまぬるくべにいろのあでやかな着物をきてさまよふひとよ妹のやうにやさしいひとよそれは墓場の月でもない 燐でもない 影でもない 眞理でもないさうしてただなんといふ悲しさだらう。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
鴉毛の婦人やさしい鴉毛の婦人よわたしの家根裏の部屋にしのんできて麝香のなまめかしい匂ひをみたす貴女はふしぎな夜鳥木製の椅子にさびしくとまつてその嘴は心臟をついばみ 瞳孔はしづかな涙にあふれる夜鳥よこのせつない戀情はどこからくるかあなたの憂鬱なる衣裳をぬいで はや夜露の風に飛びされ。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫