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幾筋

いくすじ
名詞
1
標準
文例 · 用例
血も沸かば沸け、炎も燃へばもへよ」とて、微笑を含みて読みもてゆく、心は大滝にあたりて濁世の垢を流さんとせし、某の上人がためしにも同じく、恋人が涙の文字は幾筋の滝のほとばしりにも似て、気や失なはん、心弱き女子ならば。
樋口一葉 軒もる月 青空文庫
今来た路の方を振り向くと、峡間の底から、大霧は雪を包んで乱舞を始めている、それは噴火口の底から、硫烟が幾筋も縺れ合い、こんぐらかって、騰上するようである。
小島烏水 槍ヶ岳第三回登山 青空文庫
その大網の尖端は、紐のように太く揺れて、アール・ヌーボー式の図案に見るような、印象の強い輪廓を作って、幾筋となく繋がっては、環を作る。
小島烏水 白峰山脈縦断記 青空文庫
大沢が、濶く、峡間に延びて、峡流の分岐したのが、幾筋となく蜿ねり、枯木が、踏み砕かれた、肋骨のようになって、何本も仆れている。
小島烏水 白峰山脈縦断記 青空文庫
空々寂々の境で、山という山の気分が、富士山に向いて、集中して来る、谷から幾筋とない雲が、藍の腐ったような塊になって、立ち昇る、富士山はこの雲と重なって、心もち西へ西へと延びて来るようだ、蝕った雲の淵の深さが、何十尺かの穴となって、口が明く。
小島烏水 白峰山脈縦断記 青空文庫
十幾階の角形の建築物や、工場の煙突の上に、白蝶の翼をひろげたように、雪の粉を吹いて、遠くはこんもりと黒く茂った森、柔かい緑の絨氈を畝ねらせる水成岩の丘陵、幾筋かの厚襟をかき合せたカスケード高原の上に、裳裾を引くこと長く、神々しくそそり立つ姿であった。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
私の登った北米のフッド火山は、大なる氷河が幾筋となく山頂から流れているにもかかわらず、麓の高原は乾き切って、砂埃とゴロタ石の間に栽培した柑橘類の樹木が、疎らに立っているばかり。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
私が富士山の御殿場口と、須走口の間で見たのは、雪解の痕が砂を柔かく厚く盛り上げて、幾筋ともなく流れているのが、二合目または一合目辺で、力が尽きて停止したままの状態を示していた。
小島烏水 高山の雪 青空文庫