母譲り
ははゆずり
名詞
標準
文例 · 用例
これは老母譲りだろうと思っているが、老母は中風で昨今は寝込んでいる。
— ――喜久子姫御用の「春秋屏風」その他―― 『画道と女性』 青空文庫
私は体は小さくても、生来母譲りの健康体を持っておりましたから、烈しい勉強にはいくらも堪えられました。
— ――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納―― 『画筆に生きる五十年』 青空文庫
が、その母譲りの眼の中には、洋一が予期していなかった、とは云え無意識に求めていたある表情が閃いていた。
— 芥川龍之介 『お律と子等と』 青空文庫
その時お師匠さんは、暑い折柄であるにも拘らず、きちんと紋服を着けて先代の写真を祭り、その前で祖母譲りの方式に依って盃事を厳重にしたが、翌三十一日にそのお嬢さんの家へ挨拶に行った時には何となく顔色がすぐれなかった。
— 中巻 『細雪』 青空文庫
ビートリスが誠実で、礼節をわきまえるのは母譲りだった。
— The Slave of Silence 『くちなしの花』 青空文庫
私には母ゆずりの情熱的な、僻見めいたものがあり、ときに、悪い方の直覚を働かせ自己まで低下させる。
— 一九二三年(大正十二年) 『日記』 青空文庫
」 こういう仲間に、ゴーリキイは祖母ゆずりの、聴きての心を誘い込むような魅力のこもった話しかたで、よりよい人生への可能の希望を目醒まそうとするのであった。
— 宮本百合子 『マクシム・ゴーリキイの発展の特質』 青空文庫
私は裁縫だけは教えることを知らないが、カヤノは母ゆずりか裁縫が好きで、おぼつかない手に針を持って、よく人形の服を縫っている。
— 永井隆 『ロザリオの鎖』 青空文庫