浅草紙
あさくさがみ
名詞
標準
文例 · 用例
ふと気がついて見ると私のすぐ眼の前の縁側の端に一枚の浅草紙が落ちている。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
何の関係もない色々の工場で製造された種々の物品がさまざまの道を通ってある家の紙屑籠で一度集合した後に、また他の家から来た屑と混合して製紙場の槽から流れ出すまでの径路に、どれほどの複雑な世相が纏綿していたか、こう一枚の浅草紙になってしまった今では再びそれをたどって見るようはなかった。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
」 この文辞の間にはラスキンの癇癪から出た皮肉も交じってはいるが、ともかくもある意味ではやはり思想上の浅草紙の弁護のようにも思われる。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
魔術師でない限り、何もない真空からたとえ一片の浅草紙でも創造する事は出来そうに思われない。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
ラスキンをほうり出して、浅草紙をまた膝の上へ置いたまま、うとうとしていた私の耳へ午砲の音が響いて来た。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
半七も自分のまえに運ばれた膳にむかって、浅草紙のような海苔をかけた蕎麦を我慢して食った。
— 鷹のゆくえ 『半七捕物帳』 青空文庫
鎖は足に食い込んであの浅草紙で貼っただんぶくろのような足の皮は、そのために気味悪く引きつって醜いしわができていた。
— 寺田寅彦 『解かれた象』 青空文庫
泥色をした浅草紙を型にたたきつけ布海苔で堅めた表面へ胡粉を塗り絵の具をつけた至って粗末な仮面である。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫