怯惰
きょうだ
名詞
標準
文例 · 用例
そんな想ひにつまらなく辟易して白々しくなると自分は、自分の怯惰を幼年期からの変則な家庭の罪にした。
— 牧野信一 『蔭ひなた』 青空文庫
僕は、まるで犯罪者のやうに兢々として、出遇ふものゝ眼である限りは蜂や蜻蛉のそれでさへも怕れ戦くほどの怯惰なる心を抱いて逃げて来た。
— 牧野信一 『ベツコウ蜂』 青空文庫
扉の前に立ちて瞑黙してゐた私は、たび/\怯惰なる偸安者と想はれることもあつた。
— 吉田絃二郎 『沈黙の扉』 青空文庫
性来の庸愚、怯惰、――剣戟の音を聞いただけで唇が乾いて胸がドキドキするような男だから、血刀をひっさげて戦場を駈け廻るなぞということはもってのほかである。
— 尾崎士郎 『本所松坂町』 青空文庫
近頃聞くに、敵の軍中には、また気負うこと旺なる将士が、大いに司馬懿の怯惰を罵って、「かかる都督を大魏国の軍の上にいただくには忍びぬ」 と、激語憤動、ただならぬ情勢がうかがわれるとしきりに云ってくる。
— 五丈原の巻 『三国志』 青空文庫