毀ち
こぼち
名詞
標準
文例 · 用例
公子 可、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵を毀ち、家を焼いて、もとの破蓑一領、網一具の漁民となって、娘の命乞をすれば可かった。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
我が幾たび空中に樓閣を築きて、又これを毀ちたるを知るか。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
母は掻き馴らしたる灰の盛り上りたるなかに、佐倉炭の白き残骸の完きを毀ちて、心に潜む赤きものを片寄せる。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
しかし、前川は穏健主義の紳士で、周囲を毀ち破ってまで、新子との交情を深める考えはなかった。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
「過失とは申しながら、御秘蔵の名器を毀ちました罪は重々恐れ入ります。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
生命を養ひ育てる衝動は各々のものに毀ち難く生具してゐる、しかもそれの特有性は我々及び他のものにとつてどこまでも秘密である。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
いわば奴隷は消極的に生を毀ち、主人は積極的に生を損ずる。
— 大杉栄 『生の拡充』 青空文庫
「昔、慈覚大師仏法を習ひ伝へんとて、唐土へ渡り給ひておはしける程に、会昌年中に、唐の武宗、仏法を亡して、堂塔を毀ち僧尼を捕へて失ひ、或は還俗せしめ給ふ乱に逢ひ給へり。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫