打ち付け
うちつけ
形容動詞
標準
文例 · 用例
また推進器の羽で水を艫部に打ち付けるためにいくぶんの振動を起すが、これは船体の枢要な箇所を丈夫にすれば大抵防がれる事になる。
— 寺田寅彦 『汽船の改良』 青空文庫
次の瞬間、私はその人の手から奪ふ様に、タオルを取ると、その人の背の真中のたつた一つの大きなほくろをめがけて、矢庭にそれを打ち付けた――私は、あつけにとられて居る一同をあとにして火の様に顔をほてらせ乍ら、遥か隔つた自分の居間へさつさと這入つて行つて仕舞つた。
— 断片三種 『処女時代の追憶』 青空文庫
恋をするにも真正面に相手にぶつかって真心を打ち付ける気魄も無くなり、ただふわふわ恋の香りだけに慕い寄る蝶々のような当世男の一人さ。
— 岡本かの子 『或る秋の紫式部』 青空文庫
一方は窓の破れたところに板が打ち付けてあったり、屋根がへこんでいたりして、廃墟の体であった。
— THE ADVENTURE OF THE SPECKLED BAND 『まだらのひも』 青空文庫
」「そうだ、そして私を見るなり大佐は今まで見たこともない表情をして、そのまま炉格子に頭を打ち付けた。
— THE CROOKED MAN 『曲れる者』 青空文庫
寺の扉には小き眞鍮の十字架を打ち付けたりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
そしていきなりそこに待ち合わしていた人力車の上の膝掛けをはぐって、蹴込みに打ち付けてある鑑札にしっかり目を通しておいて、「わたしはこれから歩いて行くから、この手紙をここへ届けておくれ、返事はいらないのだから……お金ですよ、少しどっさりあるから大事にしてね」 と車夫にいいつけた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
そして彼は階段を上りきると、そこの赤い鳥居へ力任せに身体を打ち付けた。
— 佐左木俊郎 『或る部落の五つの話』 青空文庫