熔炉
ようろ
名詞
標準
文例 · 用例
絶頂の火口は、今こそ休火山ではあるが、烈々と美を噴く熔炉になっている。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
熔炉の屋根には一羽のからすが首を傾けて何かしら考えていた。
— 寺田寅彦 『写生紀行』 青空文庫
店は熔炉の火口を開いたように明るくて、馬鹿馬鹿しくだだっ広い北海道の七間道路が向側まではっきりと照らされていた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
熔炉の並んでゐる室に入ると、半裸の支那人が大して膏汗を流す様子も無く、高度の熱と烈烈たる火光の中に黙黙として動いてゐる。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
炉の中の火は、予等に取つては一瞥してさへ眼睛の糜爛を恐れしめ、二目とは覗かれない程に淒惨なものであるが、どの熔炉の口にも焦熱地獄の竃を焚く鬼の如き火夫が炭を投じ火を守つて、冷然と蹲居してゐるのに驚かれた。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
憎みを主張する人は鉱石を熔炉に投じて、金塊から不純の分子を潔める人だ。
— 宮原晃一郎 『愛人と厭人』 青空文庫
足元には、数十メートルの断崖と、赤熱の熔炉。
— 豊島与志雄 『憑きもの』 青空文庫
たとえば熔炉の中で人を蒸し殺すばかりの暑さの日を、悪魔の群れたような土方の一団が、てんでに十字鍬や、ショーブルを持ちながら、苦しい汗を絞って、激烈な労働に服しているところを見ると、私は何となく悲壮な感にうたれる。
— 白柳秀湖 『駅夫日記』 青空文庫