枯木
こぼく
名詞
標準
文例 · 用例
悲壮な、痛々しい、骨の鳴るような人生が、一本の枯木を通して、蕭条たる自然の背後に拡がって行く。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
交通もなく、枯木の林の中に埋っている。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
葱買て枯木の中を帰りけり 枯木の中を通りながら、郊外の家へ帰って行く人。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
葱買つて枯木の中を帰りけり と歌う蕪村は、常に寒々とした人生の孤独を眺めていた。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
凩に匂ひやつけし帰り花 冬の北風が吹きすさんで庭の隅に、侘しい枯木の枝に咲いてる帰り花を見て、心のよるべない果敢なさと寂しさとを、しみじみ哀傷深く感じたのである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
我れを厭ふ隣家寒夜に鍋を鳴らす葱買ひて枯木の中を帰りけり易水に根深流るる寒さかな古寺やほうろく棄つる藪の中月天心貧しき町を通りけり 此等の俳句に現はれる、抒情味の本質は何だらうか。
— 萩原朔太郎 『冬の情緒』 青空文庫
或は荒寥とした枯木の中を、葱さげて家路に急ぐ人の姿は、さうした冬の季節の中で、ふしぎに物侘しく、孤独にふるへる生の果敢なさを感じさせ、何かしら或る暖かい、焚火の燃える家郷への、魂のノスタルヂアを追懐させる。
— 萩原朔太郎 『冬の情緒』 青空文庫
誘はれるでもなく覓めるでもなく、私の心が燻る……冬の明け方残んの雪が瓦に少なく固く枯木の小枝が鹿のやうに睡い、冬の朝の六時私の頭も睡い。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫