焼立
やけりつ
名詞
標準
文例 · 用例
一時に寒くなって――たださえ沸上り湧立ってる大阪が、あのまた境内に、おでん屋、てんぷら屋、煎豆屋、とかっかっぐらぐらと、煮立て、蒸立て、焼立てて、それが天火に曝されているんだからね――びっしょり汗になったのが、お庇ですっかり冷くなった。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
国香は戦死したか、又焼立てられて自殺したか、後の書の記載は不詳である。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
秀郷等は偽宮を焼立てゝ敵の威を削り気を挫いた。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
右者六郡の村民一揆|強訴、市中乱暴、其上浜野両家及津川高島等焼立候に付。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
常磐橋の辻から、京町へ曲がる角に釜を据えて、手拭を被った爺いさんが、「ほっこり、ほっこり、焼立ほっこり」と呼んで売っているのである。
— 森鴎外 『独身』 青空文庫
盛政、徳山五兵衛尉を呼んで、長篠合戦の時、鳶巣山の附城を焼立てた故智に習うべしと命じた。
— 菊池寛 『賤ヶ岳合戦』 青空文庫
すさんだ家庭に幼いから辛い目に会って来た肇はふっくりした、焼立てのカステーラみたいに香り高い甘味のある、たっぷりのうるおいがきめ毎にしみ込んで居る千世子の家の人達に交ると云う事はなぐさめともなり薬にもなった。
— 宮本百合子 『千世子(二)』 青空文庫
そして誰の皿の上にも釣り上げられた魚のやうに、焼立の菓子が落ちて来る。
— SANKT NIKOLAUS BEI DEN SCHIFFERN 『聖ニコラウスの夜』 青空文庫