中性的
ちゅうせいてき
接頭辞
標準
文例 · 用例
マダムはこの都会で何か一ト仕事をしてゐる総ての婦人に共通な、中性的な或気象と、近代的な生活意慾との持主らしかつたが、上品な感触は何うしても智識階級の人であつた。
— 徳田秋聲 『二つの失敗』 青空文庫
恐らくこの学識に富み、中性的な強烈な個性を持った神秘論者は、人間には犯人を求めようのなくなった異様な事件を、さらにいっそう暗澹たるものとするに相違ないのである。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
しかし、擲弾の距離はしだいに近づいて、すでに法水は、相手の心動を聴き、樹皮のように中性的な体臭を嗅ぐまでに迫っていたのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そうした、如何にも物静かな、悲しい諦めの空気は、勿論申し分なしに王妃の性格を――|弱き者よと嘲けられる、弱々しさを様式化してはいたが、俳優二人の峻烈な演技――わけても王妃に扮する、衣川暁子の中性的な個性は、充分装置の抒情的な気息を、圧倒してしまうものであった。
— 小栗虫太郎 『オフェリヤ殺し』 青空文庫
会話は中性的で、被害者の家族特有の同情を強いるような態度がない。
— 小栗虫太郎 『後光殺人事件』 青空文庫
一見中性的で、或るかたさ、つめたさが漂っていながら、しかもどっかに激しい女の情慾を感じさせる種類の顔であった。
— 宮本百合子 『昨今の話題を』 青空文庫
「それできみが芸術家きどりだったりしたら、一日でわれわれのところはおはらいばこさね」 蒲原は、意識してか意識しないでか、伸子と素子と、どちらに対しても、中性的な存在として暮したのだった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
その余りに無感情な中性的な笑いに、私はしまいには腹を立てて、彼との勝負を止してしまった。
— 豊島与志雄 『月かげ』 青空文庫