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板庇

いたびさし
名詞
1
標準
文例 · 用例
小鳥来る音うれしさよ板庇 渡り鳥の帰って来る羽音を、炉辺に聴く情趣の侘しさは、西欧の抒情詩、特にロセッチなどに多く歌われているところであるが、日本の詩歌では珍しく、蕪村以外に全く見ないところである。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
その同じ心は白梅や誰が昔より垣の外 という句にも現れ小鳥来る音うれしさよ板庇愁ひつつ丘に登れば花|茨 などのロセッチ風な英国抒情詩にも現われている。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
外には程近い山王台の森から軒の板庇を静かにそそぐ雨の音も佗しい。
寺田寅彦 やもり物語 青空文庫
軒端を見ると青い煙りが、突き当って崩れながらに、微かな痕をまだ板庇にからんでいる。
夏目漱石 草枕 青空文庫
三段登って廊下から部屋へ這入ろうとすると、板庇の下に傾きかけていた一叢の修竹が、そよりと夕風を受けて、余の肩から頭を撫でたので、すでにひやりとした。
夏目漱石 草枕 青空文庫
急に茶室のなかが薄暗くなつたかと思ふと、時雨がはらはらと軒の板庇を叩いて通りました。
薄田泣菫 利休と遠州 青空文庫
博多の町の南の出外れ、万延寺の本堂と背中合わせの竹瓦に板庇、板敷土間に破れ畳二枚、ガタガタ雨戸の嵌め外しがやはり二枚という、乞食小舎の豪華版から、墓原越しに見晴らす筑紫野は、これも晩春の豪華版であろう。
――博多名物非人探偵 狂歌師赤猪口兵衛 青空文庫
例の新築された会所のそばを通り過ぎようとすると、表には板庇があって、入り口の障子も明いている。
第一部上 夜明け前 青空文庫