名誉慾
めいよよく
名詞
標準
love of fame
文例 · 用例
また自分が、どのような運動に参加したって、所詮はその指導者たちの、名誉慾か権勢慾の乗りかかった船の、犠牲になるだけの事だ。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
そこで富者は富即幸福の妄信の破れると共に、或は趣味に生きようとしたり、或は道義に生きようとしたり、或は名誉慾に生きようとしたり、或は知識慾に生きようとしたりするに至る。
— 幸田露伴 『貧富幸不幸』 青空文庫
先生の境遇は、感情的な偏見と、名誉慾に古びた女性の集団に挾まって、その時分も、かなり晴々しくないものがあったらしく思われる。
— 宮本百合子 『弟子の心』 青空文庫
自分の筆力で前代未聞の怪画を描いて、天下後世を震駭させてくれようと思った……これがこうした若い、天才肌な芸術家にあり勝ちの、最も高潮した名誉慾だ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
殊に日本の古い芝居の如きは、その中の主な役をとった役者が、最も舞台の中心になって見物の注意を集めなければならない必要上、必ずしも芸術的な効果という点ばかりでなく、その俳優が自分の権勢慾、名誉慾のために、他の役者を犠牲にするというようなことが、今日もなお行われているようです。
— 岸田國士 『俳優倫理』 青空文庫
おやぢの酔興とおふくろの名誉慾で、でつちあげた、インチキ学校ぢやないか。
— 四幕と声のみの一場よりなる喜劇 『速水女塾』 青空文庫
彼女は家庭婦人となるにしては、男性への洞察力が鋭すぎたし、虚栄心も、名誉慾も高すぎた。
— 坂口安吾 『街はふるさと』 青空文庫
名誉慾は人並以上にあり、身辺を華やかなものにする野心は最近まで捨てきれずにゐたけれども、ふとした機会に、彼は先代の伝記を編む仕事の価値を、ある民間の学者から吹き込まれた。
— 岸田國士 『泉』 青空文庫