曳出
曳出
名詞
標準
文例 · 用例
人通りが少いで、露にひろがりました浜昼顔の、ちらちらと咲いた上を、ぐいと曳出して、それから、がたがた。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
前刻見た兎の毛の雲じゃ、一雨来ようと思うた癖に、こりゃ心ない、荷が濡れよう、と爺どのは駆けて戻って、がッたり車を曳出しながら、村はずれの小店からまず声をかけて、嘉吉めを見せにやります。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
が、話の意味は通ぜずに、そのまま捻平のがまた曳出す……後の車も続いて駈け出す。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
」 と見る、目の前へ、黄色い提灯の灯が流れて、がたりと青く塗つた函車を曳出すものあり。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫
」 車夫は呼交わしてそのまま曳出す。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
五十四 しばらくするとお雪は帯の端を折返して、いつも締めている桃色の下〆を解いて、一尺ばかり曳出すと、手を掛けた衣は音がして裂けたのである。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
しかし昨日、道に迷った難儀に懲りて、宿から、すぐ馬を雇って出ると、曳出した時は、五十四五の親仁が手綱を取って、十二三の小僧が鞍傍についていた。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
」 黄昏の頃油揚坂より続々として曳出だす、馬車、腕車数十輛、失望、不平、癇癪などいう不快なる熟字を載せたるは、これ貴婦人の帰途にて、徒になりたる百余俵の施与米を荷車に積みて逆戻り、笑止なりける次第なり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫