瀟々
瀟々
名詞
標準
文例 · 用例
予は其を聞くと整しく口をつぐみて悄気返れば、春雨恰も窓外に囁き至る、瀟々の音に和し、長吁短歎絶えてまた続く、婦人の泣音怪むに堪へたり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
秋雨|瀟々、更けても降り止まなかった。
— 開会の辞 『中国怪奇小説集』 青空文庫
霧に似たる細雨は隙間もなく瀟々と降頻って、濡れたる手足は麻痺れるように感じた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
(十一月×日) 遠雷のような汐鳴りの音と、窓を打つ瀟々たる雨の音に、私がぼんやり目を覚ましたのは十時頃だったろうか、コロロホルムの酢のような匂いが、まだ部屋中に流れているようで、私はそっと窓を開けた。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
* 梁川君の葬式は、秋雨の瀟々と降る日であった。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
永井先生が「雨瀟々」の趣味ある家業家ヨウさんの幻滅振りにも亦頗る相似てゐると云つておかう。
— 正岡容 『異版 浅草燈籠』 青空文庫
それは、その数日前から降りつづいた秋雨がなおも降り止まず、瀟々と病室の縁側の硝子障子に打ち煙っている日であった。
— 下巻 『細雪』 青空文庫
雨はいよ/\土砂降りになつて、陰鬱な京の小路の家列に瀟々と濺ぐ。
— 谷崎潤一郎 『青春物語』 青空文庫