舫
もやい
名詞
標準
文例 · 用例
近所は、港に舫った無数の廻船のように、ただぎっしりと建て詰んだ家の、同じように朽ちかけた物干しばかりである。
— 梶井基次郎 『交尾』 青空文庫
そして入江には舟が舫っている気持。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
」 岸辺の茶屋の、それならぬ、渚の松の舫船。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
戯にともづなの舫を解いて、木馬のかわりにぐらぐらと動かしても、縦横に揺れこそすれ、洲走りに砂を辷って、水に攫われるような憂はない。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
舫船を旅籠とより、名所を座敷にしたようなことを吐す。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
中には舫った船に乗って、両手を挙げて、呼んだ方もござんした、が、最うその時は波の下で、小雪さんの髪が乱れる、と思う。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
一度、あの松に舫った、別荘の船の中へ抱下しましたわね。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
松原の茶店の婦の、振舞酒に酔い痴れて、別荘裏なる舫船に鼻唄で踏反って一寝入りぐッと遣った。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫