腋毛
わきげ
名詞
標準
underarm hair
文例 · 用例
たとえば月を断ち切る雲が、女の目を切る剃刀を呼び出したり、男の手のひらの傷口から出て来る蟻の群れが、女の腋毛にオーバーラップしたりする。
— 寺田寅彦 『映画芸術』 青空文庫
」 というが早いか、引手繰るや否や、肥っているから、はだかった胸へ腋の下まで突込んだ、もじゃもじゃした胸毛も、腋毛も、うつくしい、情ない、浅間しい、可哀相な婦を揉みくたにして、捻込んだように見えて、毛の生えた方も、白い方も、そのまま瞼にちらついて、覚えています。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
そはとにかくに糞の歌も、厠の歌も、犢鼻褌の歌も、腋毛の歌も、瘡の歌も歌として書に載せられをる事実は争ふべきにあらず。
— 正岡子規 『人々に答ふ』 青空文庫
信吉はズボンだけの裸んなって、腋毛を見せながら、白い上っぱりを着た中年の医者の前へ立った。
— 宮本百合子 『ズラかった信吉』 青空文庫
したが女、そちはどこからまいったのじゃ」 そう言いながら、自分の唇に、濡れた相手の腋毛を、しごきたいような欲情に駆られ、横蔵はぶるると身を震わした。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫
のこった者たちの体はいちように青銅いろに膨れ、腕が太股なのか太ももが腹なのか、焼けちぢれたひとにぎりの毛髪と、腋毛と、幼い恥毛との隈が、入り乱れた四肢とからだの歪んだ線のくぼみに動かぬ陰影をよどませ、鈍くしろい眼だけがそのよどみに細くとろけ残る。
— 峠三吉 『原爆詩集』 青空文庫
貞子の腋の下には黒い腋毛が見えている。
— 外村繁 『澪標』 青空文庫
紺絣の着物、きつく絞った襷、端折った裾から覗いている赤い腰巻、逞しく肉付いた足や、まるく張り切った腕や、ふさふさとした腋毛。
— 山本周五郎 『青べか物語』 青空文庫