石盤
せきばん
名詞
標準
文例 · 用例
されば今夜六月の良夜なりとはいへ、遠いい物音が、心地よく風に送られて来るとはいへ、なにがなし悲しい思ひであるのは、消えたばかしの鉄橋の響音、大河の、その鉄橋の上方に、空はぼんやりと石盤色であるのです。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
それから暫くさう云ふものに遠ざかつて居た、石盤をはふり出して、いきなり針箱の上へ耶須多羅女の泣いて居る処を出されて御覧なさい。
— 泉鏡花 『いろ扱ひ』 青空文庫
風にもめげずに皆駆出すが、ああいう児だから、一人で、それでも遊戯さな……石盤へこう姉様の顔を描いていると、硝子戸越に……夢にも忘れない……その美しい顔を見せて、外へ出るよう目で教える……一度逢ったばかりだけれども、小児は一目顔を見ると、もうその心が通じたそうよ。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
ロシアの読本をのぞくと、たちまちにして自分がロシアの子供に生まれ変わり、ラテンの初歩をかじると、二千年前のローマ市民の子供になり、蝋石盤をかかえて学校へ通うようになる。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
自分はうらやましい心をおさえて川沿いの岸の草をむしりながら石盤をかかえて先生の家へ急ぐ。
— 寺田寅彦 『花物語』 青空文庫
自分はその問題を前に置いて石盤の上で石筆をコツコツいわせて考える。
— 寺田寅彦 『花物語』 青空文庫
ラシャ切れを丸めた石盤ふきですみからすみまで一度ふいてそろそろ丁寧に説明してくれる。
— 寺田寅彦 『花物語』 青空文庫
――むかしここいらで、小学校へ通うのに、いまのように洒落た舶来ものは影もないから、石盤、手習草紙という処を一絡めにして……武者修行然として、肩から斜っかけ、そいつはまだ可いがね、追々寒さに向って羽織を着るようになるとこの態裁です。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
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石盤(せきばん)とは、スレートのような硬く平たい岩を薄く切り出した板状の物で、書字用の媒体として利用される。
出典: 石盤 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0