神界
しんかい
名詞
標準
文例 · 用例
また渋味は、自然界にあっては不熟の味である場合が多いが、精神界にあってはしばしば円熟した趣味である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
あらゆる方面から来る材料が一つの釜で混ぜられ、こなされて、それからまた新しい一つのものが生れるという過程は、人間の精神界の製作品にもそれに類似した過程のある事を聯想させない訳にはゆかなかった。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
東洋は古来、精神界においては、西洋と較べものにならぬほど深く見事に完成せられていて、西洋の最もすぐれた哲学者たちが時たま、それをわずかに覬覦しては仰天しているという事も聞いているが、西洋はそんな精神界の貧困を、科学によって補強しようとした。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
科学の応用は、人間の現実生活の享楽に直接役立つので、この世の生命に対する執着力の旺盛な紅毛人たちの間に於いて異常の進歩をとげ、東洋の精神界にまで浸透して来た。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
物質界と表裏して詩人や哲学者が顧みぬ精神界が別にあると、何故|思れなかったろう?
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
人間の意識の表面に浮だ別天地の精神界と違って、此精神界は着実で、有力で、吾々の生存に大関係があって、政治家は即ち此精神界を相手に仕事をするものだと、何故思われなかったろう?
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
けれども初めは極く詰まらないものであつても、後の發展によつては、案外面白いものとなり得ることがあるのは、物質界でも精神界でも屡※見られるのだ。
— 中島敦 『かめれおん日記』 青空文庫
何のことはない、精神界にあつて、消防夫の出初め見た樣なことをして居るのである。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫