遐
遐
名詞
標準
文例 · 用例
酒場の 軒燈の 腐つた 眼玉よ、 遐くの 方では 舎密も 鳴つてる。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
青い瞳は動かなかつた、 世界はまだみな眠つてゐた、さうして『その時』は過ぎつつあつた、 あゝ、遐い遐いい話。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
夏の夜の水田の滓、怨恨は気が遐くなる――盆地を繞る山は巡るか?
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
ほんのりあかるい上天界遐き昔の影祭、しづかなしづかな賑はしさ上天界の夜の宴。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
夏の夜の星の如くは今もなほ 遐きみ空に見え隠る、今もなほ。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
されども渠等は未だ風も荒まず、波も暴れざる当座に慰められて、坐臥行住思い思いに、雲を観るもあり、水を眺むるもあり、遐を望むもありて、その心には各々無限の憂を懐きつつ、※息して面をぞ見合せたる。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
されども人智は限有り、天意は測り難し、豈図らんや、太祖が熟慮遠謀して施為せるところの者は、即ち是れ孝陵の土|未だ乾かずして、北平の塵既に起り、矢石京城に雨注して、皇帝|遐陬に雲遊するの因とならんとは。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
若し太祖に果して登遐の日に際して諸王の葬に会するを欲せざらば、平生無事従容の日、又は諸王の京を退きて封に就くの時に於て、親しく諸王に意を諭すべきなり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫