小一
しょういち
名詞
標準
文例 · 用例
) 話に聞いた振袖新造が――台のものあらしといって、大びけ過ぎに女郎屋の廊下へ出ましたと――狸に抱かれたような声を出して、夢中で小一町駆出しましたが、振向いても、立って待っても、影も形も見えません、もう朝もやが白んで来ました。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
此瀧を過ぎて小一町、道のほとり、山の根の巖に清水滴り、三|體の地藏尊を安置して、幽徑磽※たり。
— 泉鏡花 『逗子だより』 青空文庫
一体その軍鶏屋は何処ですえ」「以前は浅草の吾妻橋ぎわにあったのですが、亭主が死んだので店を仕舞って、おかみさんは品川の方へ引っ込んで、もう小一年も逢わなかったのですが、きのう思いがけなく川崎で逢いました」「おかみさんはお六というのだね。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
鶏はどれほど記憶がよいか知らないが、小一年の後までも其の人の顔や姿を見忘れないものであろうかと、半七は又かんがえた。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
それで先ず小一年は無事に済んだのですが、旧い罪と新らしい罪とが一度にあらわれて、もう助からない事になりました。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあつた。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
一番近くて山椒の木の在るのは、こゝの町外れより小一町ほど町中へ戻って、町の本通へ折れ曲る角の鷺町劇場がある。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫