懸け樋
かけどい
名詞
標準
文例 · 用例
沢水は、むろん凍結して、懸け樋に水は通わないから、万事氷を溶かして弁じるのだ。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
池にのぞみて、懸樋あり。
— 北原白秋 『夢殿』 青空文庫
反歌障子にすずろにひびく筬の音山辺の春はすでに動きぬ山かげの懸樋の縁の紐氷柱本末ほそうなりにけるかも造り酒屋の歌水きよき多摩のみなかみ、南むく山のなぞへ、老杉の三鉾五鉾、常寂びて立てらくがもと、古りし世の家居さながら、大うから今も居りけり。
— 北原白秋 『海阪』 青空文庫
反歌障子にすずろにひびく筬の音山辺の春はすでに動きぬ山かげの懸樋の縁の紐氷柱本末ほそうなりにけるかも木彫の人形月光と魚 支那の木彫人形 その一爺が張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。
— 北原白秋 『篁』 青空文庫
住家の周囲の景色はどんなものかと言うと、南の方には石で造ってある水溜へ水を引く為の懸樋が造ってある。
— 鴨長明 『現代語訳 方丈記』 青空文庫
僕はこゝで霧の深い朝晩を送り迎え、懸樋の水にひたした野生の菜のたぐいの美しさに心をひかれ、更に長い乾燥し切った昼間は牧場に出て草にねころび、何とかいう名の中年輩の牧夫と長話をした。
— 石川欣一 『山を思う』 青空文庫
」 と、其店の婆さんもぞんざいなもので、「水なら懸樋から流れているだろう、いくらでも飲むがいいよ」「オオ冷めてえ!
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
ちょうど、七刻下がりの刻限なので、そろそろ旅の者の影も絶え、次郎が去った後は、懸樋の水の音がチロチロとせせらぐのみで、暫く茶店は閑散のていに見うけられる。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫