牛飲
ぎゅういん
名詞
標準
文例 · 用例
茶の湯も何も要らぬ事にて、のどの渇き申候節は、すなわち台所に走り、水甕の水を柄杓もてごくごくと牛飲仕るが一ばんにて、これ利休の茶道の奥義と得心に及び申候。
— 太宰治 『不審庵』 青空文庫
「三島亭」は古い牛肉店で、戦争前は三高の学生たちがよくこの店でコンパを開いて、「紅燃ゆる丘の花……」 という校歌やデカンショ節をうたいながら、牛飲馬食した。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
「お湯から買物に回ッて……そしてネ自家もモウ好加減に酔てる癖に、私が飲めないと云うとネ、助けて遣るッてガブガブそれこそ牛飲したもんだから、究竟にはグデングデンに酔てしまッて」 ト聞いて文三は満面の笑を半引込ませた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
夜はまた招かれて、闘牛児さんのお宅で句会、飲み食ふ会であつた、紅足馬、闘牛児、蜀羊星(今は故人)みんな家畜に縁のある雅号である、牛飲馬食ですなどゝいつて笑ひ合つた。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
――さしみ、てんぷら、そば、どれもみなおいしかつた、酒もわるくなかつた、近来にない牛飲馬三月廿五日 晴――曇――雨。
— 種田山頭火 『松山日記』 青空文庫
大抵のひとが出て来ないほど、船が、凄まじくロオリングするなか、ぼくは盛んに、牛飲馬食、二番の虎さんや、水泳の安さんなんかと一緒に、殆ど、最後まで残って、たしか飯を五杯以上は食いました。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
先年中一樽の価七、八円のとき、上下五十銭も相違すれば、先ず価を聞かずにチャンとその風味を飲み分けると云うような黒人で、その上等の酒をウンと飲んで、肴も良い肴を沢山喰い、満腹|飲食した跡で飯もドッサリ給べて残す所なしと云う、誠に意地の穢ない所謂牛飲馬食とも云うべき男である。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
牛飲馬食という言葉は、彼らのために出来ているようだ。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫