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渡守

わたしもり
名詞
1
標準
文例 · 用例
あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。
太宰治 走れメロス 青空文庫
七日、辛酉、相模次郎朝時主、女事に依りて御気色を蒙る、厳閤又義絶するの間、駿河国富士郡に下向す、彼の傾公は、去年京都より下向す、佐渡守親康の女なり、御台所の官女たり、而るに朝時好色に耽り、艶書を通ずと雖も、許容せざるに依り、去夜深更に及びて、潜かに彼局に到りて誘ひ出すの故なりと云々。
太宰治 右大臣実朝 青空文庫
但、この前の渡を一つ越さねばならぬで、渡守が咎立をすると面倒じゃ、さあ、負され、と言うて背中を向けたから、合羽を跨ぐ、足を向うへ取って、猿の児背負、高く肩車に乗せたですな。
泉鏡花 薬草取 青空文庫
金澤ばかりかと思ひしに、久須美佐渡守の著す、(浪華の風)と云ふものを讀めば、昔、大阪に此のことあり――二日は曉七つ時前より市中螺など吹いて、わいたわいたと大聲に呼びあるきて湯のわきたるをふれ知らす、江戸には無きことなり――とあり。
泉鏡花 寸情風土記 青空文庫
松平佐渡守の屋敷前をゆき過ぎて、間の馬場まで来かかった時に、娘のすがたは暗い中にふっと消えてしまった。
津の国屋 半七捕物帳 青空文庫
その間に「年波」、「八重の潮路」、「渡守」、「心なるらん」などの歌詞はきれぎれに打誦ぜられき。
泉鏡花 取舵 青空文庫
女房たちも川の水勢の荒いことなどを言い合い、「先日も渡守の孫の子供が舟の棹を差しそこねて落ちてしまったそうです。
浮舟 源氏物語 青空文庫
昨日の渡守は今白帆を揚げて沖へ出て行く所である。
長塚節 鉛筆日抄 青空文庫