鳩麦
はとむぎ
名詞
標準
文例 · 用例
薬を教えてくれた人にお礼がてら魚の目のことを話したら、「それは、鳩麦のせいですよ」とはっきり云われた。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
鳩麦というものだけ買って、戸棚に入れたまま何月か経った。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
ところが鳩麦だけの飲みようが私に分らない。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
鼠は鳩麦の袋を破ってそれを喰べていたのであったが、私たちの驚き且つ感歎したのはそのたべようの巧緻さである。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
鳩麦の、瀟洒な色の、つるりと堅い細長いこまかな殼の胴なかを噛みやぶってみだけ綺麗にたべている。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
鳩麦の夥しい殼は空の小舟のような軽い粒々をあたり一面に散ってカサコソと鳴るのである。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
いま鳩麦をかじった鼠にも、格別の好意はないのだけれども、その齧りかたが一定の方法をもっていて、しかも何百粒か数え切れない粒を、その方法でかじりつづけて行ったところに一種の気持よさを感じた。
— 宮本百合子 『鼠と鳩麦』 青空文庫
疣から多分四年の後に、私は親に別れて関東の土を踏み、茨城県の西南隅、布川という町に暫く住んでいたが、その頃がちょうど鳩麦煎餅という、紙の筒に入った丸い煎餅の、人気に投じて盛んに売り弘められた時で、その製造元は爰から五、六里の、たしか鳩崎という小さな町にあった。
— 柳田国男 『海上の道』 青空文庫