書立
かきたて
名詞
標準
文例 · 用例
それに続いて生年月日やら生処やら卒業の学校やらが書立てられ、さて、M氏に嫁するに及んで、貞淑にして内助の功少からず云々……とあり、それから今度は奇妙なことに、一転して御亭主たるM氏自身の伝記に変って、彼の経歴から、資性温厚だとか、人以て聖人君子と為すとか、弔辞の中の文句に似た言葉が並んでいる。
— 中島敦 『狼疾記』 青空文庫
被害者の身元がわかる位なら、あれほど新聞で書立てたのだから、被害者と関係のある者から届けて来る筈だよ。
— 佐左木俊郎 『三稜鏡』 青空文庫
無闇にデモクラなど説く輩、わが日本に生れてこんな故事に盲らで外国の受売りのみするは、片腹どころか両腹痛いとこゝに書くと、二た月も立たぬ内に、きつとわが物顔に「金源三の平等観」など題して書立つる者が出る筈、それは盲が窃盗を働らくのだ。
— 南方熊楠 『きのふけふの草花』 青空文庫
敏腕を以て聞こえた当局も、流石に斯様な超特急の椿事に遭遇しては呆然として手の下しようもなく……云々……といったような事を筆を揃えて書立てていたが、流石の吾輩もこの記事を見た時には文字通り呆然、唖然としてしまったね。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
そうして一年前のK村の惨劇を振出しにした彼等の戦慄すべき兇暴な手口を、殆んど称讃せむばかりに書立てているのであった。
— 夢野久作 『老巡査』 青空文庫
尤も京阪地方の新聞の大多数は、犯人の足が、意外なところから付いたように書立てていた。
— 夢野久作 『老巡査』 青空文庫
悪魔の心でなくちゃならん……といったような理窟で、人類の罪悪史みたような事が、それからジャンジャン書立ててあるのです。
— 夢野久作 『悪魔祈祷書』 青空文庫
椿岳の畸行は書立てれば殆んど際限がないくらい朝から晩までが畸行の連続であった。
— ――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド―― 『淡島椿岳』 青空文庫