禺
禺
名詞
標準
文例 · 用例
大にして尾長く赤目なるは禺なり。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
『山海経』に招揺の山に獣あり、その状|禺(尾長猿)のごとくして白耳、伏して行き人のごとく走る、その名を※々という。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
一つ思ひ切り懲しめてやらなければ……」 もう春が帰つて来たのかと思はれるほど暖なある冬の日の午過ぎ、近ごろは、誰一人訪ふものもないその廃屋の扉を、ひよつこり敲いて来たある昔馴染の客と、こんな言葉を取交してゐるのは、南禺集の著者、明の豊南禺その人であつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
南禺はその当時博学な文人の一人として世間に知られてゐたが、生れつき片意地で、好き嫌ひがはげしい上に、気が短く、ちよつとしたことにもすぐに向つ腹を立て、機嫌がわるいと、誰彼の見さかひなく、口から出まかせに悪口雑言の限りを浴びせかけるので、友達も永続きはしなかつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
評判は評判を生んで、しまひには南禺をとても手のつけられない狂人だといふことにして、誰一人寄りつくものもなくなつてしまつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
そんなこんなでたつた一人で心を暗くしてゐる南禺のところへ、思ひがけなく訪れて来たのが沈嘉則で、彼は年の若いに似ず如才なく、南禺を同郷の先輩として持ち上げたものだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
何よりも真実の知己がほしかつた南禺は、大喜びに喜んで、好意の限りを尽してこの来客をもてなした。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
南禺が昔馴染の口から、嘉則がその日自分の見せた近作を散々にこきおろしてゐるといふ噂を耳にしたのは。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫