空閨
くうけい
名詞
標準
lonely, spouseless bedroom
文例 · 用例
一番最後に歌った意味は、『老母は愛児の帰りを待ちわび、紅粧の新妻淋しく空閨を守る。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
これがお佐代さんがやや長い留守に空閨を守ったはじめである。
— 森鴎外 『安井夫人』 青空文庫
これは友人にも多少の悪巧みはあったにしても、主たる動機は半平という男が細君に死別してからまる二年この方、空閨を貞淑に守りつづけているのを見ちゃいられなかったせいだった。
— 海野十三 『幸運の黒子』 青空文庫
路づれの桃葉、これを見て、『普通の明間ならよけれど、空房では、空閨が聯想せらる』といふのに、はじめて氣が付き、下宿人は支那人なるべしとて、名札を見るに、すべて支那人也。
— 大町桂月 『飛鳥山遠足』 青空文庫
あるいは玄宗皇帝時代に、空閨に泣いていた夥しい宮女たちから受けた感化かも知れないが」「……ですけども、自分はそう思っていないじゃないですか」「無論、そんな自省力を持ち得る年頃じゃないさ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
そこで作者は先づその蟋蟀を閨の床下で啼くものに特定し、またその閨を夫を旅に出した妻の空閨に限定し、感覚の持主をその旅に出てゐる夫としたのである。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
彼は冤罪を叫んで控訴したが、家には一銭の貯えもない、空閨数年いかでか守り卒えるべき。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
空閨を守らせるとは怪しからん。
— 長谷川時雨 『九条武子』 青空文庫