寝転
ねてん
名詞
標準
文例 · 用例
そして母が髪を結つてたのでその傍にゴロンと仰向きに寝転んだ。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
Nの小説が、中途までくると、私は、仰向けに寝転がつて、溢れる涙をそうつと、たもとでふいた。
— 葉山嘉樹 『遺言文学』 青空文庫
大山が、暗がりで寝転がって、借金の返済という個人的な事実から、 ――俺が奴に返せないと、奴は、奴の借りを返せない。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
子供等は寝転んで本を見ているのもあれば、絵具箱を出して絵を描いているのもあった。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
近頃かの地でボーアに会って帰って来た友人の話によると、このまだ若い学者は、どこか近い田舎に小さな別荘のようなものを有っていて、暇のあるごとにそこへ行く、そうして平和な周囲と新鮮な空気の中に想を練りペンを使う、どうかすると芝生の上に寝転がって他所目にはぼんやり雲を眺めているそうである。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
こういう型の学者があるとすれば、それを世間が本当に尊重するつもりなら、やはりはたから構わないで自由に芝生に寝転がって雲を眺めさせておく方がいちばんいいだろうと思う。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
」 と寝転ぶようにして、頬杖ついて、畳の上で読むのを見ながら、抜きかけた、仏壇の抽斗を覗くと、そこに仰向けにしてある主税の写真を密と見て、ほろりとしながら、カタリと閉めた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
ところでその蛇のような光る影も、向かわって、また私の出途へ映りましたが、兎はくるくると寝転びながら、草の上を見附けの式台の方へ参る。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫