淡緑
たんりょく
名詞
標準
文例 · 用例
六畳間にとおされて、見ると、部屋の床の間寄りの隅にいつ買いいれたのか鼠いろの天鵞絨が張られた古ものらしいソファがあり、しかも畳のうえには淡緑色の絨氈が敷かれていた。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
紅紫の袿に撫子色らしい細長を着、淡緑の小袿を着ていた。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫
一寸触つても指に付いてくる六月の棕梠の花粉のやうに、月夜の温室の薄い硝子のなかに、絶えず淡緑の細花を顫はせてゐるキンギン草のやうに、うら若い女の肌の弾力のある軟味に冷々とにじみいづる夏の日の冷めたい汗のやうに、近代人の神経は痛いほど常に顫へて居らねばならぬ。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
而して時と処と私の気分の相違により、ある時は桐の花の淡い匂を反射し、また草わかばの淡緑にも映り、或はあるかなきかの刺のあとから赤い血の一滴をすら点ぜられる。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
さうしてその淡緑色の小さい毛虫のやうにしみじみとその私の気分にまみれて、拙いながら真に感じた自分の歌を作つてゆく………… 五月が過ぎ、六月が来て私らの皮膚に柔軟かなネルのにほひがやや熱く感じられるころとなれば、西洋料理店の白いテエブルクロスの上にも紫の釣鐘草と苦い珈琲の時季が来る。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
さうしてその淡緑色の小さい毛虫のやうにしみじみと私の気分にまみれて、拙いながら真に感じた自分の歌を作つてゆく…… * 五月が過ぎ、六月が来て私らの皮膚に柔軟かなネルのにほひがやや熱く感じられるころとなれば、西洋料理店の白いテエブルクロスの上にも紫の釣鐘草と苦い珈琲の時季が来る。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
淡緑色の小さな玉が幾つか麦藁の上に軽く置かれた。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
山の淡緑なるもの皆然り。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫