稚児輪
ちごわ
名詞
標準
文例 · 用例
笛てんかんというのもおかしいですが、生まれつきのてんかん持ちででもあったか、それとも人出にのぼせたものか、稚児輪姿の牛若丸が笛にしめりを与えると同時に、突然|苦悶のさまを現わして、水あわを吹きながら、その場に悶絶いたしました。
— 笛の秘密 『右門捕物帖』 青空文庫
どんな画家でも、自分が物忘れをしてゐる間に、稚児輪が高島田になつたと聞くと、流石に一寸変な気持もする。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
かわいい稚児輪のお美夜ちゃんがねむそうな眼をして、それをいちいち配っている。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
七歳のお美夜ちゃん……稚児輪に結って、派手な元禄袖のひとえものを着て、眼のぱっちりしたかわいい顔だ。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
ひやめし草履をひきずる先生の横に、ちょこちょこ走りのお美夜ちゃん……稚児輪の似あうかわいい顔で両袖かさねて大事そうに、胸のところにだいているのは、泰軒小父ちゃんの一升徳利で。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
彼女の肌へ蔽いかぶさるようにして、顔を伏せて居る瑠璃光の、可愛らしい、小さな建築のような稚児輪の髪に、鳥の羽毛とも粉雪とも分らぬものが、頻りにはら/\と降りかゝった。
— 谷崎潤一郎 『二人の稚児』 青空文庫
腰を下ろして我にもあらず腕を組むと、「お茶を召しませ」 可愛らしいお稚児、紫の大振袖、精巧の袴、稚児輪を俯向けてソッとお茶をすすめているのでした。
— 幽霊にされた女 『銭形平次捕物控』 青空文庫
稚児輪鬘をつけ、常盤御前の冠るようなあの塗笠にそれから杖を持つと、それで私の仕度は出来上った。
— 小山清 『桜林』 青空文庫